女性ロックアーティストの歴史3(90年代)

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今回は90年代に関しての記事です。

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①グランジ・ムーブメント

90年代に入り、グランジ・ムーブメントが勃発しました。
80年代の華やかさを旧価値として否定するムーブメントでもありましたので、80年代に活躍したアーティストはほとんど活動停止や解散に追い込まれました。
それにつられて、90年代当初では、グランジ人脈の女性アーティストが活躍しました。
例えば、ニルバーナのカート・コーバンの妻であったコ-トニー・ラブ率いるホール、ニルバーナのプロディーサーであったブッチ・ヴィグが結成し、シャーリー・マンソンをフロントにしたガービッジなどか活躍しました。

②女性シンガー・ソングライター・ブーム

90年代も中盤に入り、グランジ・ムーブメントも一段落すると、女性シンガー・ソングライターが台頭してきました。
まずは、その代表的な存在である、シェリル・クロウが1993年にデビューしました。
続いて1994年に、ポーラ・コールもデビュー、1995年にはカナダからアラニス・モリセットがデビューしました。
また、アイスランドから1993年にもビョークがデビューしました。
クラッシック・ロックをベースにするシェリル・クロウ、ジャズをベースにするポーラ・コール、新感覚のロックであるアラニス・モリセット、エレクトロニカやドリップ・ホップの要素があるビョーク。

確かに音楽性は異なっていますが、共通して言えるのは、90年代に入り、ヴィジュアルやファッションより、作詞作曲力やオリジナリティといったアーティスト本来のことが重視され、また女性らしい感性も作品に反映させたことです。

「男まさりより女性らしさ」、「色気より知性」というコンセプトが反映されています。

女性アーティストの音楽の原点への復帰と言えると思います。
(ほかにはパティ・ロスバーグやメルデス・ブルックスなどがいました)

③女性中心バンドの低迷

女性シンガーソングライターが台頭しているのに引き換え、所謂女性中心のバンドや女性だけのバンドは低迷していました。

オルタナティブ畑からは、グエン・ステファニー擁するノー・ダウトが気を吐いていましたが(オルタナティブといっても、彼女らのルーツはスカ・パンクでグランジの影響は全く受けていません)、90年代は全体的にHR/HMが低迷していたこともあり、HR/HMの女性中心のバンドはまさに渇水状態とでした。

1997年エリック・ノーランダーをリーダーとする、彼の奥さんであるラナ・レーンを擁するラナレーンがデビューしました。
メロディアスで古典的なプログレ・ハードという音楽性で、日本とヨーロッパではそこそこ人気を博しましたが、本国アメリカではさっぱりで、いつの間にか失速してしまいました。

一方、北欧では、ギンバリー・ゴス擁するシナジーがデビューしましたが、アルバム三枚残して解散してしまいました。
女性中心のバンドの復権は、それ以降のゴシック/シンフォニック・メタル・ムーブメントを待たなければならなかったことです。

次の記事に続く


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