女性ロックアーティストの歴史4(00年代 フィメール・ゴシックの台頭)

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今回は00年代に一世を風靡したフィメール・ゴシック・メタルに関しての記事です。

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①ゴシック・メタルの発生

90年代のアンダーグラウンドなメタルシーンにおいて デスメタル、ドゥームメタルからゴシック・メタルが派生しました。それが女性ヴォーカル・ロックの大きな源流となっていきますが、女性ヴォーカルとの関連を語る前に、ゴシックメタル自体の発生から書いていきます。

起源はまずイギリスから、パラダイス・ロストが1991年に「Gothic」を発表しました。
ここから、ゴシックメタルと言うようになりました。
音楽的な特徴としましては、重くスローなサウンドをベースに、ゴシックロック由来の耽美的でもの悲しさ、絶望性を加味したものです。
また同じイギリスで、アナセマ、マイ・ダイイング・ブライドもデビューし、イギリスゴシックの初期ムーブメントを形成していきました。

それが、ヨーロッパの他の国にも飛び火して、1994年にノルウェーから、最初の女性ヴォーカルメインのザ・サード・アンド・ザ・モータルがデビューしました。
同じくノルウェーで、所謂美女と野獣といわれる女性ヴォーカルと男性デスヴォーカルのスタイルの最初のバンドである、シアター・オブ・トラジディがデビュー。それに続いてトリスタニアがデビューしました。
オランダからは最初、男性ヴォーカルのデスメタルであったギャザリングが、メンバーチェンジをきっかけに、女性ヴォーカルをメインとしたゴシック・メタルを展開しました。

さらに同じオランダから、女性ヴォーカルメインのメロディアスな音楽性を持つウィズイン・テンプテーションがデビューし、後続のバンドに大きな影響を与え、さらに、2000年に同国から、アフター・フォーエヴァー、2002年にアフター・フォーエヴァーを脱退したメンバーが結成したエピカもデビューし、ゴシック・メタルがオーバーグラウンドとなる下地を作り上げました。

②女性ヴォーカルのシンフォニック・メタルの台頭

90年代の女性ヴォーカルHR/HMはまさに冬の時代でした。

しかし、1997年にフィンランドからナイトウィッシュが衝撃のデビューをし、1998年の傑作「オーシャンボーン」でメジャーとなりました。
シンフォニックなメタルサウンドにオペラティックな女性ヴォーカルというスタイルは衝撃的でした。

続いて、2000年にオーストリアから女性ヴォーカル・シンフォニック・メタルバンドのエデンブリッジがデビューし、またスイスからルナティカなどの
バンドもデビュー、シーンは少しずつ活況を取り戻して行きました。

③満を持してエヴァネッセンス登場

00年代に入ってヨーロッパでは女性ヴォーカルのシンフォニック/ゴシックメタルはメジャーな音楽の一つとなっていましたが、アメリカでは認知されて
いませんでした。
2003年にエヴァネッセンスがデビューし、大ブレイクして、そのヘビーでメランコリックな音像やヴォーカリストであるエイミーのいでたちから、ゴシック・メタルとして扱われました。(もともとの音楽的な出自は当時アメリカで流行していたヘビー・ロックでエヴァネッセンスをゴシック・メタルにカテゴライズしていいかについては、いまだに議論の余地があります)
結果的に、ヨーロッパでメジャーな音楽となったフィメール・ゴシック・メタルがアメリカに飛び火し、そこから全世界に広がりました。エヴァネッセンスはそのような重要な役割を果たしたわけです。

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④2004年以降のフィメール・ゴシック/シンフォニック・メタル

2004年は驚くぐらいフィメール・ゴシック/シンフォニック・メタルの名盤が、輩出された年でありました。
ナイトウィシュの「ワンス」、ウィズィン・テンプテーションの「サイレント・フォース」、アフター・フォーエヴァーの「インヴィジブル・サークル」
などです。
それによって、00年代後半は、 フィメールゴシック/シンフォニック・メタルが世界的にトレンドどなり、数多くのフォロワーを生み出していきました。
2008年頃からは、ムーブメント的には下火になりましたが、メジャーな音楽ジャンルの一つとして定着しました。
また最近では、全世界、全ジャンル的に、女性ヴォーカルバンドが定着していますが、、フィメールゴシック/シンフォニック・メタルのムーブメントがなかったら、そのような状況になっていなかったと思います。

次の記事に続く


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