ハート 音楽性の特徴とその変遷

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今回は、ハートの音楽性の特徴とその変遷、またウィルソン姉妹について、詳しく語って行きたいと思います。

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①ハートの音楽性の変遷と特徴

ハートの音楽性は一言で言って、多種多様、ということです。
躍動感あるハードロック・ナンバー、美しくしんみりしたポップ・バラード、また、渋みのあるアコースティック・サウンドといった、多様な音楽性を持ち合わせいます。
このことは、レッド・ツェッペリンからの影響と、デビュー前のライブ・サーキットで客のリクエストに応じ、いろいろなタイウの曲を演奏していたことに起因します。
そのことはハートの魅力の1つでもあると思いますが、それがかえってつかみどころがないとして、ハートの音楽性への理解をさまたげている面があります。

次に、ハートの時代の流れを反映した音楽性の変化について述べてみたいと思います。
いわゆる70年代の初期ハートはレッド・ツェッペリンの影響が色濃く感じられるハードロックやアコースティックサウンドがメインですが、それだけにとらわれず、いわゆるヨーロッパ世界とアメリカ世界の融合という感じで、ハート独自の世界を作っていました。
リズムやギターリフはアメリカ的なゴツゴツした感じだが、その上でヨーロッパ的な繊細さ、叙情性、メルヘンチックさを醸し出しています。

このころのハートはオリジナリティがあり一番良いと言う人もかなりいます。80年代以降はオリジナリティがなくつまらないバンドになってしまったというのがその人たちの言い分です。
しかし、70年代とくらべアンのヴォーカルが前面に出ています。このころからのアンのヴォーカルはさらにパワフルになりました。

そして、85年「ハート」で復活を遂げた後は以前とかなり音楽性が変わっています。
外部の売れっ子ライターが作曲した曲を多く取り上げ、ポップでメロディアスとなり、ハードロック色が薄くなりまた。
また、それまではなるべくキーボードを使わない、シンプルなサウンドがメインであったが、シンセサイザーが大幅に導入されるようになりました。
プロデュースにも力をいれ、全体的にサウンドとして洗練されてきました。

それが、当時の売れ筋のサウンドとなっていて、実際よく売れたため、いわゆる「産業ロック」と批判されることもありました。
しかし、私は、バラードの曲が美しく、またサウンド面でも、より円熟し完成度が高くなってきたと思います。
ギターやシンセの隠し味としての使い方がうまくなり、またアンとナンシーのコーラス・ハーモニーも美しさを増しました。
また、デニー・カーマッシのドラムもタイトで力強いです。

90年代に入ると、ハートの原点復帰ということで、サウンドもよりシンプルになり、アコースティック色が強くなってきました。
また、活動休止後の2000年代に入りますと、同じシアトルのバンドとして、グランジの要素を取り入れています。
つまりヘヴィーなギターリフが多くなりました。
10年代にはいると、それがますます顕著になり、かなりハードでヘビーになってきています。

以上のように、時代の流れとともに音楽性も変化してきましたが、ハートが取り入れてきたものは、ハードロックやアコースティック・バラードのような
普遍的な音楽です。
ハートが好不調の波をくりかえしながらも40年以上生き残ってこれたのは、こういった普遍的な音楽を追求し、それを自分たちものとして吸収することによって、ハート独自の音楽作りだしたことです。
また、音楽性が変わっても、あくまでアンのヴォーカルを核としたメロディ志向の音楽を追求したことであります。

②ウィルソン姉妹という女性アーティスト

1)アーティストとしてのウィルソン姉妹

ハートの各曲にウィルソン姉妹の女性としてのやさしさや情感、繊細さなどが出ています。女性ロックアーティトに関する重要なファクターである、色気より知性、男まさりより女性らしさがよく出ています。
やはりハートの音楽は男性には出せないと思います。

また、アンは世界一の女性ロックヴォーカリストと言っても過言ではないでしょう。
声量、パワー、表現力、情感、あらゆる面において彼女以上のヴォーカリストはいないと思います。
また年代がたつにつれてますます円熟して、パワーも衰えていません。
以上のことで、特に女性ファンにはかなり支持されています。

また、(詳細はあとで書きますが)後世の女性ロックアーティストへ与えた影響も大きく、尊敬する女性ロックアーティストとしてアンの名前を揚げる女性ロックアーティストも多いです。

ナンシーのほうはアコースティック・ギターの名手です。たしかにリードギターはロジャーやハワードなどの男性メンバーがとっていたが、アコースティック・ギターといえばナンシーです。

また彼女が「ジーズ・ドリーム」のようにリード・ヴォーカルをとっている曲もある。高音部がきれいです。
中低音部を担当するアンと高音部を担当するナンシーとのツイン・ボーカルということも言えます。
また、アンとナンシーのコーラス・ハーモニーもすばらしい。姉妹だからこのような味がでるのです。

ただし、アーティストとして惜しい点は作詞作曲の能力が他の有名女性ロックアーティストと比べて今一つかな、と思ってしまいます。
80年代後半以降の外部ライターによる曲とウィルソン姉妹自身のペンによる曲と比べれば、前者の方が曲自身のクオリティが上です。
80年代後半のヒット曲はほとんど外部ライターの曲です。それを考えるとさびしいですね。

2)魅力的な女性としてのウィルソン姉妹

ウィルソン姉妹は70年代の20代のころは清楚な美人姉妹として名を馳せていました。
80年代後半は、華やかな成熟した大人の女性に成長してます。
当時全盛だったMTVの画像をみて、あまりの美しさに嬉しくなってしまった人もいるかと思います。
現在ではアンのほうは残念ながら太ってしまいましたが、ナンシーのほうは相変わらず、美しくかっこいいです。

またウイルソン姉妹は「恋多き女性」でもありました。
70年代にアンはロジャーの兄マイケルと、ナンシーはロジャーとそれぞれ恋仲でありました。
その後ナンシーは82年ごろ、キャメロン・クロウが関連する映画のチョイ役として出演し、キャメロンと恋仲になり、結婚までこぎつけました。
おしどり夫婦と思われていましたが、残念ながら最近になって離婚し、今度は映画会社の幹部と再婚しました。
でもこの年になっても再婚できるなんでさすがとは思いませんか?

あれだけの素晴らしい熱唱ができるのも、良い恋愛をたくさん経験して、それを肥やしとしているからだと思います。
また、男性メンバーに対して、母親のように包み込むような優しさがあり、面倒見がよかったと思われます。
ハートは男性メンバーにとっても居心地がよかったバンドだったのではないでしょうか?

次の記事に続く


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