ハート シーンに与えた影響について

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今回は、ハートがロックシーンに与えた影響について語っていきます。

ハートのシーンへの影響としましては、まず女性ヴォーカル・ハードロックの元祖として、ほとんどのハード・ロック系の女性ヴォーカリストに影響を与えて、レスペクトの対象となっていることです。
最近では、全世界的に、女性ヴォーカルのハードロックバンドが活躍しています。
ハートのまいた種が、今花を咲かしているような状況です。

また、ジャンルにかかわらず、本当の意味で女性中心のバンドの元祖となり、さまざまな意味で自立した女性ロックアーティストの先駆けとなったことで、後進のロック・アーティストを目指す女性に影響を与え、また勇気つけたことでしょう。

それでは、その影響にについて、具体的に記述していきます。

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①本国アメリカ

まず、本国のアメリカでは、ジャンルを問わず、さまざまな女性アーティストがハートに対してレスペクトしています。

80年代に一世を風靡した、シンディ・ローパーも尊敬する女性アーティストとしてウィルソン姉妹を上げています。
90年代以降、アメリカを代表する女性シンガー・ソング・ライターのシェリル・クロウも「ハートは偉大なる先駆者だ」とレスペクトを示しています。

また00年代にブレイクしたエヴァネッセンスも、音楽的なルーツは全く異なり、公言もしていませんが、楽曲がメロディアスでキャッチーな所はハートからの影響を感じさせます。
また、10年代に入り、ヘイルストームなど、女性ヴォーカルの正統派ハードロックバンドが次々とデビューしましたが、その骨太な所は70年代のハートからの影響も少なからずあります。

②ゴシック・シンフォニックメタル

00年代にムーブメントとなり、それ以降も安定した人気を保ち続けるフィメール・ゴシックメタルにおきまして、同じHR・MHの範疇でも、音楽性がかなり異なるため、音楽性の影響を直接受けたとは考えにくいですが、ハートもしくはウィルソン姉妹から影響を受けた女性ヴォーカリストはかなり存在します。

私が知る限り、ラナ・レーン、シアター・オブ・トラジディの後期の女性ヴォーカリストであるネル・グラシンドは、影響を受けたアーティストとしてハートを挙げています。
また、エデンブリッジのサビーネも、バンドの公式サイトで好きなアーティストとして、ハート挙げています。

公言こそしていませんが、ウィズイン・テンプテーション、特にシャロンがハートからの影響を感じさせます。
4THアルバムの「ハート・オブ・エブリシング」の曲「フローズン」は、もろに80年代黄金時代のハートを連想させます。
公言しなくてもわかるでしょう。

③日本の女性ヴォーカル・ロック

まず、日本の女性ヴォーカル・ロックのパイオニアともいえる浜田麻里についてですが、ハート、特にアン・ウィルソンを敬愛していて、美しさとパンチの効いたパワフルさを両立されたアンのヴォーカルスタイルに影響を受けています。

そこで、80年代中期の名盤「ブルー・レボリューション」の中で、「ホワット・アバウト・ラブ」のカバーをしています。
いままで書いてきましたように、ハートは80年代中期に復活しましたが、その復活の第1曲目がその「ホワット・アバウト・ラブ」です。
敬愛するハートの復活に、浜田麻里も刺激され、勇気つけれれたことでしょう。

また、浜田麻里以外にも、ハートの復活は、日本の女性ヴォーカル・ロックシーンを活性化させ、プリンセス・プリンセス、レベッカ、SHOWーYAなどの活躍となっていきます。

また00年代に入ると、やはり、アン・ウィルソンをレスペクトしている女性ヴォーカリスト黒猫擁する陰陽座が、メジャーデビューしてシーンを活気つけます。
10年代に入ると、黒猫をレスペクトしている女性ヴォーカリストFUKI擁するライト・ブリンガーがメジャーデビューして、現在のガールズ・メタル・ブームの先駆けとなります。
すなわち、正統派女性ヴォーカル・ロックの系譜として、アン・ウィルソン→浜田麻里→黒猫→FUKIの流れがあります。

以上のことから、ハートの後世への影響は本国アメリカやヨーロッパより、むしろ日本の女性ヴォーカル・ロックへの影響が大きいと思います。
確かに、日本での人気・評価は一般的なロックファンからはいま一つです。
しかし、女性ロックヴォーカリストにとっては、プロ、アマチェア問わず、「アン・ウィルソンこそ女性ロックヴォーカリストの最高峰だ」と声をそろえています。
そのようなことで、ハートは所謂、ミュージシャンズ・ミュージシャンの面を持ち合わせています。

④シアトルロックとの関係

90年代前半のシアトルで、ニルバーナやパール・ジャムを中心にグランジ・ムーブメントが興りました。
このムーブメントは、華やかで装飾的な80年代において主流であったロックに対するアンチ・テーゼであったため、80年代のメインストリーム系のアーティストは次々と失速していきました。

しかし、ハートはグランジ系バンドと同じシアトルを拠点にしていました。
華やかで装飾的な80年代を代表とするバンドであるハートとそれを否定するグランジ勢。
まさに、呉越同舟という感じですが、実際はどのような関係だったのでしょうか?

ニルバーナは特にガンズ・アンド・ローゼスやヴァン・ヘイレンを攻撃していました。
同郷であるハートは真っ先に攻撃の対象になったのではないかと思いました。
ちょうど、そのリアルタイム時は、ロックから離れていましたので、本当の事は全く分かりません。

しかし、パール・ジャムやアリス・イン・チェインズとは友好的でした。
パール・ジャムに関しては、ハート側が機材を貸したり、また共演したりしていました。
アリス・イン・チェインズに関しては、アンがアリスのミニアルバム「SAP」にゲストで参加したり、また、アリスの活動停止中にベーシストのマイク・アイネズがハートのメンバーとなったりしています。
また、ハートのロックの殿堂入りのスピーチはサウンドガーデンのクリス・コーネルが行いました。

グランジ系のアーティストは音楽性、年代、ムーブメントを超えて、同郷の先輩アーティストとしてハートをレスペクトしたいたのでしょうか?

次の記事に続く


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