陰陽座「覇道明王」

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われらが陰陽座が6月6日に新譜「覇道明王」を発表したので、早速レビューします。

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①全体的な印象

全体的な印象としては、一言でいうと、陰陽座の作品中もっとも「男らしい」アルバムだと思いました。
「男のパワー」がみなぎる作品、「男」を感じさせる作品です。
2010年代に入り、日本でも女性ヴォーカル・メタルが脚光を浴び、所謂嬢メタルブームとなっていますが、この作品を聴いて、やはりメタルは「野郎の、野郎による、野郎のための音楽」だと再認識しました。
最近の嬢メタルブーム対する陰陽座の回答かもしれません。

サウンド的には、タイトでパワフルなドラミング、ベビーなギターリフ、パワフルで男らしい掛け声がフユーチャーされていまして、黒猫のヴォーカルは少し後ろに引っ込んだ印象です。
なんと、作品中に必ずといていいほどあった、黒猫のヴォーカルをフィーチャーした、所謂黒猫バラードがありません。(個人的には少し残念ではあるが)
「覇道明王」のコンセプトである、「陰陽座こそが覇道の明王であることを宣言するべき」を重視し、男のパワー、アグレッション、ヘビーさで統一するため、あえて黒猫バラードを外したのだと思います。
本当に、この作品を引っ提げてのライブが楽しみとなってきました。

あえて少し残念な点を言いますと、作品後半で同じようなアレンジなので、少しだれる所もあります。(と言っても、最後の曲、無礼講では頭フレフレ、拳アゲアゲになりますが)

この作品のキーワードである、覇者、覇王、王道に対する覇道など、古代中国春秋時代が起源の言葉が出てきます。
瞬火って、日本史や妖怪のことだけでなく、古代中国に対しても造詣が深いのかなと思ってしまいました。

②古代中国春秋時代について

メタルの新譜レビューで古代中国春秋時代について言及するのは、筋違いかもしれませんが、どうしても書きたい衝動にかられましたので、言及します。

もともと、王道と覇道という言葉は、古代中国春秋時代にさかのぼります。
古代中国にまず夏王朝が興り、そのあと殷になり、そのあとで周となりました。
周の初めの頃は、道徳と礼儀により、国が良く治まっていました。そこから道徳と礼儀によって、国を治めることを王道というようになりました。

しかし、時が進むつれて、異民族の侵入などにより、周が衰えると、(日本でいう大名である)諸侯が力を持ち始め、周王室を圧倒し始めます。
衰えた王室に代わり、力のある諸侯が武力により覇権を握り、異民族の侵入に際して、周王室に代わり中国全土に号令を発します。
このような力のある諸侯が、やがて覇者と言われるようになり、そこから武力により国を治めることを覇道というようになりました。

ちなみに、この春秋時代の覇者で有名なのは、春秋の五覇と言われる、斉の桓公、晋の文公、楚の荘王、呉王闔閭、越王勾践です。
そのうち、もっとも覇者らしいのは何と言っても楚の荘王です。
作品を聴き進めるにしたがって、瞬火が楚の荘王に見えてきました。かっこいい!

③曲目紹介

かなり脱線しましたので、最後に曲目紹介としていきたいと思います。

1)覇王
いきなりのデス・ボイスで意表をつかれました。その後ヘビーなギターリフで2分後にようやく黒猫のヴォーカルが入って来ます。
まさに新機軸だなと思いました。
初めから男らしさ、ヘビーさ、パワフルさ満載です。

2)破邪の封印
最近の陰陽座の作品は、1曲目がミドルテンポの曲で、2曲目が陰陽座らしい、アップテンポなキャチーでノリのいい曲になるパターンなので、そのような曲かなと予想していましたが、まさにその通り。陰陽座節、黒猫節が炸裂です。
次に、シングルカットされるのはまさにこの曲でしょう。
予定調和だのワンパターンだのいう人もいるかと思いますが、うん、陰陽座はこれでいいんだと思います。

3)以津真天
陰陽座流のスラッシュチューン。正統派メタルの出ながら、このような曲の出来るようになったのは、演奏力のアップ、黒猫の歌唱力アップの賜物でしょう。

4)桜花忍法帖(覇道MIX)
TVアニメ「バジリスク~桜花忍法帖~」の主題歌として、先行してシングルででていた曲。
このアルバムにあうように、低音が強調されたヴァージョンに変わっています。

5)隷
6)腐蝕の王
これもノリのいいキャッチーな曲で、まさに黒猫節炸裂!シングルカットできそうです。

7)一本蹈鞴
瞬火の男らしいヴォーカルが印象的なヘビーなミドルテンポの曲

8)飯綱落とし
9)鉄鼠の黶
10)無礼講
まさに、この男らしい「覇道明王」の最後を飾るにふさわしい、男らしい縦ノリのナンバー。
無礼講!という男声の掛け声が、疲れているときでも、テンションが上がります。
この曲を聴いて次のライブが本当に楽しみになってきました。
さあみんな、今夜は無礼講だ!という瞬火のMCが今から聞こえてきます。
そうなれば、理屈抜きで、頭フレフレ!拳アゲアゲ!のはっちゃけモードです。
やはり、メタルとは本来このような音楽なんでしょう。
もう、陰陽座の辞書にやりすぎという言葉はありません。
ここまで来たら、覇道を突き進み、メタル界の覇王となって、低迷するロックシーンにカツを入れてください!と言いたくなります。

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