ひととおり、女性ヴォーカルのゴシックメタル、シンフォニックメタルの重要なバンドについて、一通り紹介しましたので、雑感というか総括的なものを書いていきます。
今回は、2000年代のフィメールゴシック・ムーブメントがもたらした影響について書いていきます。
2000年代初頭から、ナイトウイッシュ、ウイズイン・テンプテーションを中心として、ヨーロッパで盛り上がりを見せたフィメールゴシックメタルは、2003年、エヴァネッセンスのデビューで一気にヨーロッパ以外でも注目され、また2004年はナイトウイッシュの「ワンス」、ウイズイン・テンプテーションも「サイレント・フォース」というロック史に名を残す名作を発表し女性ヴォーカルのゴシックメタル、シンフォニックメタルがブームとなり、アンベリアン・ドーン、カトラ、アンサンなどがデビューし活況を呈しました。
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しかし、2010年代にはいり、次第にムーブメントも落ち着き現在ではかつての勢いはありませんそういったことから、フィメールゴシック・ムーブメントは一過性のトレンド、一時的な流行にすぎないとの声もあるようですが、果たしてそうでしょうか?私は違うと思います。
そこで、私なりに、フィメールゴシックムーブメントがもたらした事をまとめてみました。
①HR/HMシーンにおける女性ヴォーカルの定着
70年代から80年代にかけて、それなりに認知されていた、女性ヴォーカリスト中心のバンドや女性だけのバンドは、90年代に入り不毛となり、特にHR/HMシーンでは渇水状態でありました。
2000年代に入り、フィメールゴシックムーブメントにより、女性ヴォーカルバンドの復権となりました。
また、いままで、HR/HMといえば、まさに「野郎の、野郎による、野郎の為の音楽」でしたが、フィメールゴシック・ムーブメントをきっかけとして、ゴシックメタルやシンフォニックメタルのみでなく、次第に正統派メタルやエクスストリーム・メタルにも、女性ヴォーカリストが次々でてきて、いまや、HR/HMシーン全体に女性ヴォーカルが定着したといってもいいでしょう。
確かに、HR/HMのサブジャンルとしてのゴシックメタルは下火になったと思いますがその代わり、HR/HMシーン全体に女性ヴォーカルを定着させたことは、フィメールゴシック・ムーブメントは単なる一過性のトレンドではないと思います。
②ロックシーンにおけるメロディの復活
90年代はグランジ・ムーブメントからはじまり、ミクスチャー・ロック、デスメタルを中心とするエクスストリーム・メタル、ヘビーロックなど、メロディーより、リズムを追及したり、ひたすら激しさやヘビーさ追求するのが主流となり、メロディは脇に追いやられた感じでした。
フィメールゴシック・ムーブメントをきっかけに、少なくともHR/HMシーンでは、メロディアスな音楽が次第に多くなってきたと思います。
まさに、ナイトウイッシュ、ウイズイン・テンプテーション、リーヴズ・アイズ、エデンブリッジが登場した時は、暗黒であったシーンに、美の女神たちが現れ、救済したとまで思ってしまいます。(大げさかもしれませんが)
もし、フィメールゴシック・ムーブメントがなかったら、いまだに80年代以前のロックばっかり聴いていたと思います。
③女性ヴォーカリストのルックスの向上
これは、私の独断と偏見かもしれませんが、フィメールゴシック・ムーブメント以降、HR/HMシーンにおいて、女性ヴォーカリストのルックスが向上したような気がします。
HR/HMシーンにおいて、90年代以前は、女性ヴォーカリストのルックスは問わないという暗黙の了解があるかのように、微妙なルックスが多かったが、エデンブリッジのサビーネ、エピカのシモーネなどの美人ヴォーカリストが出現して以来、その後続として、カトラ・ソロプロやアンサンのアヤなどの美人ヴォーカリストが次々デビューして、その結果HR/HMシーン全体で、女性ヴォーカリストのルックスが向上したと思います。